■外国法人課税
1. 外国法人の課税の概要
外国法人については、支店等を保有の有無によって課税関係が異なっているが、課税されるのは国内源泉所得に限定されている。
国内源泉所得の計算は、内国法人の計算を準用している。
(1) 外国法人と外資系法人の区分
外国法人とは、内国法人以外の法人をいい、内国法人とは、国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。外資系法人とは、通称であって、内国法人のうち、資本等の関係で外国法人の支配下にある法人をさしている。
(2) 租税条約との関係
租税条約を締結している国の外国法人については、租税条約の規定が適用されることから、国内法だけでなく、租税条約の規定を合わせたところで課税関係を検討する必要がある。
(3) 外国法人の区分と課税所得の範囲
外国法人に対しては、各事業年度の所得のうち、法人税法第141条各号(外国法人に係る法人税の課税標準)に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得について、各事業年度の所得に対する法人税を課する。2. 外国法人の区分(PE関係)
(1) 概要
外国法人の課税所得の範囲は、次のような支店等の恒久的施設(permanent establishment, PE)の有無によって異なる。 そのため、国内にPEがあるかどうかが重要になる。
PE等の区分は、次のとおりです。
(2) 支店等
「国内に支店、工場その他の事業を行う一定の場所を有する外国法人」
(3) 建設事務所等
国内において建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供を一年を超えて行う外国法人」
(4) 代理人
「国内に自己のために契約を締結する権限のある者これに準ずる者で一定の者をおく外国法人」
具体的には、次の代理人がPEに該当します。
- 常習代理人
「外国法人のために、その事業に関し契約(その外国法人が資産を購入するための契約を除く)を締結する権限を有し、かつ、これを常習的に行使する者(一定の者を除く。)」- 在庫保有代理人(在庫代理人)
「外国法人のために、顧客の通常の要求に応ずる程度の数量の資産を保管し、かつ、当該資産を顧客の要求に応じて引き渡す者」- 注文取得代理人
「もっぱら又は主として一の外国法人(その外国法人の主要な株主等その他その外国法人と特殊の関係のある者を含む。)のために、常習的に、その事業に関し契約を締結するための注文の取得、協議その他の行為のうちの重要な部分をする者」3. 課税所得の範囲
外国法人の課税所得の範囲は、PEの有無によって異なる。また、その種類の違いによっても課税される国内源泉所得の範囲も異なる。
(1) 支店等を有する外国法人
「すべての国内源泉所得」
(2) 建設事務所等を有する外国法人
「国内源泉所得のうち、1号から3号所得の全て及び4号から11号所得のうちPEの国内事業に帰せられるもの」
(3) 代理人を有する外国法人
「国内源泉所得のうち、1号から3号所得の全て及び4号から11号所得のうちPEの国内事業に帰せられるもの」
(4) 上記以外
「特定の国内源泉所得」
国内源泉所得のうち、a. 国内にある資産の運用若しくは保有又は国内にある不動産の譲渡により生ずるものその他政令(令184)で定めるもの、b. 人的役務の提供事業から生じる所得(2号所得)、c. 不動産所得(3号所得)
なお、PEに帰属しない国内源泉所得については、その内容により源泉徴収だけで課税関係が終了するものと、課税されないものがあることに留意する必要があります。4. 課税所得の計算方法等
所得金額の算出方法・適用税率
(イ) 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算の規定に準じて計算した金額とする。
(ロ) 法人税の税率は、内国法人の場合と同じ。
5. 外国法人に特有なもの
(1) 外国法人の資本金額と税務計算
・外国法人の本店の資本金額によるもの
1) 中小規模の普通外国法人に対する軽減税率(法143の2)
2) 試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除(措法42の4)
3) 電子機器利用設備を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除(措法42の4)
4) 中小業者の機械等の特別償却(措法45の2)
5) 中小企業の貸倒引当金の特例((措法57の8)
・日本国内の資産に対応するものとして計算した資本金額によるもの
(事業年度の終了の時の「資本等の金額」 X 国内資産価額 / 外国法人総資産価額)=日本国内の資産に対する資本等の金額
1) 寄付金の損金算入額
2) 交際費等の課税の特例
3) 過少資本税制(ただし、「国内事業に係る資産価額」を分子とする。)
(2) 本店配賦経費の取り扱い
「本店配賦経費とは、外国法人の本店の販売費及び一般管理費のうち、支店が負担すべきものとして配賦される経費をいう。外国法人の事業年度の経費について国内源泉所得の計算上、合理的な基準による本店配賦経費は認められている。」(法令188の1一)
(3) 所得(経費)を認定しない国内業務
1) 単純購入非課税(法令176の2)
「法人が国内において譲渡を受けたたな卸資産につき国内において製造等をしないで、これを国外において譲渡する場合には、その譲渡により生ずる所得は、国内において行う事業から生ずる所得に含まれないものとする。」
2) 補助的機能を有する事業上の活動(法令176の3一):益金又は損金に算入しない。
「その法人が国内又は国外において行う事業のために、それぞれ国外又は国内において行う広告、宣伝、情報の提供、市場調査、基礎的研究その他その事業の遂行にとって補助的な機能を有する行為」
3) 内部取引の排除:内部利子、内部使用料の損金不算入(法令176の3ニ)
「その法人が国内又は国外において行う事業に属する金銭、工業所有権その他の資産をそれぞれその法人が国内又は国内において行う事業のように供する行為」
(4) 金融機関の場合の事実上の特例(本支店間利子の取り扱い)
外国銀行が支払う本支店利息については、通常の企業の売上原価に相当するものとして、ライボーを上限に損金算入が認められている。
(5) 105%法人(親会社等のために情報提供等を行う外国法人)
本店のために情報の提供等の補助的機能を有する外国法人の日本支店は、それらの行為からは所得が生じないこととされている(法令176-3一)が、本店の親会社のためにそれらの行為をした場合には、同条の適用は無いこととされている。親会社の補助的業務を営むことを設立目的とした子会社の日本支店については、日本支店が独立の企業として国内のサービスから適正な利益をあげるべきとされている。
このような業務を営む日本支店について、親会社からの手数料収入を日本支店の総経費(公租公課を含む)のおおむね105%として申告しているのが一般的であり、このことから通常105%法人といわれている。
■海外移住者に係る年金等の税務
(初出:企業年金連絡協議会)
目次
1 はじめに
2 海外移住者に係る年金の税務
(1) 居住者と非居住者の定義
(2) 恒久的施設(PE)の種類
(3) 居住者と非居住者の課税所得の範囲
(4) PEを有しない非居住者の課税所得の範囲
(5) 非居住者が受領する年金の課税関係(源泉徴収)
(6) 非居住者が受領する一時金の課税関係(確定申告)
3 租税条約の適用関係
(1) 租税条約の意義
(2) 租税条約の適用関係
(3) 退職年金に対する課税
(4) 一時所得に対する課税
4 退職年金と一時所得に対する各国との租税条約の概要
5 想定される質疑応答1 はじめに
―日本での個人の課税関係の理解のためにー
日本での個人に対する課税関係は、その人が居住者なのか非居住者なのかにより、その取扱いが異なっています。さらに、非居住者の課税関係は、国内に支店、事務所等の恒久的施設(PE:permanent establishment)の形態等により、課税される所得(国内源泉所得)の範囲が異なっています。したがって、それらの理解をすることなしに、わが国での課税関係を理解できません。また、非居住者が日本で課税される場合も、一旦は源泉徴収されて、その後確定申告により精算される場合や、源泉徴収だけで課税関係が終了する場合や、源泉徴収されずに確定申告だけが必要な場合があります。2 海外移住者等に係る年金等の税務
(1) 居住者と非居住者の定義
居住者と非居住者の定義は次のとおりです。
居住者 (1)日本国内に住所を有する個人 (2)日本国内に現在まで引き続き1年以上の居所を有する個人 非居住者 居住者以外の個人(日本国内に住所も1年以上の居所も有しない個人) 住所とは、「各人の生活の本拠」をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定されます。
居所とは、その人の生活の本拠ではないが、その人が多少の期間継続して現実に居住する場所とされています。
(2) 恒久的施設(PE)の種類
PEは、次のとおり区分されています。
PEの種類 PEの内容 支店等 国内に支店、工場、支店、出張所その他の事業所、事務所、工場、倉庫などの事業を行う一定の場所(支店等) 建設工事等 国内において建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供(建設作業等)を1年を超えて行うもの 代理人等 国内に自己のために契約を締結する権限のある者等(代理人等):常習代理人、在庫保有代理人、注文取得代理人 非居住者で国内で事業を行っている者(事業所得者)については、上記のPEの種類を確認する必要がありますが、年金を受領する非居住者については、通常、国内で事業を行っている者は少ないことから、PEとされる貸ビル業(事業を行う一定の場所で事業所、事務所等に順ずるもの:不動産貸付の規模が5棟10室以上)に該当する場合以外、「PEなし」の非居住者の課税関係を考えることになります。
通常、海外で年金を受領する非居住者は、これらの恒久的施設(PE)を有しない非居住者に該当します。
(3) 課税される所得の範囲
居住者と非居住者の区分 課税される所得の範囲(確定申告の対象となる所得) 居住者 全世界所得 支店等を有する非居住者 すべての国内源泉所得 建設工事等を有する非居住者 一定の国内源泉所得(*)及び建設作業等に係る事業に帰せられるそれら以外の国内源泉所得 代理人等を有する非居住者 一定の国内源泉所得(*)及び代理人等を通じて行う事業に帰せられるそれら以外の国内源泉所得 PEなしの非居住者 国内にある資産の運用・保有所得又は国内にある不動産の譲渡所得並びに政令で定める所得 * 一定の国内源泉所得とは、国内での事業等からの所得(所法161一号該当所得)、任意組合等からの配当(所法161一号の二該当所得)、国内の不動産の譲渡所得(所法161一号の三該当所得)、人的役務の提供事業所得(所法161二号該当所得)及び不動産所得(所法161三号該当所得)をいいます。
* * 居住者は、正確には永住者と非永住者に分かれますが、本稿で取り扱う場合、特に問題がないので、非永住者を無視したところで説明しました。
(4) PEを有しない非居住者の課税所得(国内源泉所得)の範囲
国内に恒久的施設(PE)を有しない非居住者の課税所得を、確定申告の対象となる所得と分離課税の対象になる所得に分けて見てみます。
イ 確定申告の対象となる所得
次の掲げる所得が、確定申告の対象(総合課税)となります。
1) 国内にある資産の運用若しくは保有により生ずる所得
2) 国内にある不動産の譲渡により生ずる所得
3) 国内での人的役務の提供事業所得
4) 国内の不動産所得
5) 所得税法施行令291条に規定する所得
・国内にある不動産の上に損ずる権利等の譲渡による所得
・国内にある山林の伐採又は譲渡による所得
・内国法人株式のあっせん等又は事業譲渡等に類似する譲渡による所得
・不動産関連法人の株式等の譲渡による所得
・ゴルフ会員権等の譲渡による所得
・非居住者が国内に滞在する間に行う国内にある資産の譲渡による所得
・所得税法施行令281条(国内に源泉がある所得)に規定する所得
同条(所令281)の5号では、「・ ・・・国内においてした行為に伴い取得する一時所得」と規定しており、本件の代行返上に伴って取得する一時金もこれに該当するものと考えられます。
ロ 分離課税の対象となる所得
所得税法161条第4号から第12号までに掲げる国内源泉所得が、分離課税の対象とされ、支払の時に源泉徴収され、わが国での課税関係が完結します。
年金等の所得については、次のとおり規定されています(他は略)。
八 次に掲げる給与、報酬又は年金
イ)俸給、給与、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他の人的役務の提供に基因するもの
ロ)公的年金等(外国の法令等に基づいて支給される年金は除かれる)
ハ)退職手当等のうちその支払を受ける者が居住者であった期間に行った勤務その他の人的役務の提供に基因するもの
したがって、非居住者が受領する公的年金等は、分離課税の対象とされ、支払の時に源泉徴収されて、わが国の課税関係が終了することになります。
(5) 非居住者が受領する年金の課税関係(源泉徴収)
分離課税の対象とされる年金等については、次の算式により、源泉徴収税額が算定されます。
課税所得(A) X 20% = (源泉徴収税額)
イ 65歳未満:A=(その支払われる年金の額)−(1月分の支給に対して6万円)
ロ 65歳以上:A=(その支払われる年金の額)−(1月分の支給に対して10万円)
(例)月15万円の退職年金で、3ヶ月ごとに支給される。
・65歳未満の場合
(15万X3)−(6万X3)=45万−18万=27万円。 27万円X20%=5万4千円(源泉徴収税額)
・65歳以上の場合
(15万X3)−(10万X3)=45万−30万=15万円。 15万円X20%=3万円(源泉徴収税額)
(6) 非居住者が受領する一時金の課税関係(確定申告)
代行返上に伴って受け取る一時金については、場合によっては、一時所得になります。非居住者の一時所得については、居住者の規定に準じて計算した金額とされます(所法165)。
具体的には、居住者の場合と、同様の計算をしますが、所得控除と税額控除の適用は異なり、所得控除は、雑損控除(国内にある資産に限られる)、寄付金控除と基礎控除だけ適用されます。年金受領者の場合、通常、税額控除の適用はありません。3 租税条約の適用関係
わが国が租税条約を締結している国の居住者の場合、当該租税条約の適用関係を検討しなければなりません。
(1)租税条約の意義
租税条約は、通常、二国間において租税に関する課税ルールを定めて、一方の締約国の企業等が、条約相手国(源泉地国)において事業又は投資等により所得を取得する場合、この源泉地国における課税の軽減を行うことにより国際的な二重課税を排除するとともに、国際的な脱税等を防止する観点から条約締結国間において情報交換等を行うことを定めた国家間の取り決めです。
租税条約は、二重課税を回避するために、租税条約の適用対象である条約相手国(移住先国)の居住者に対して、源泉地国における課税を減免する措置等を講じているものです。
以上のことから、移住先国の居住者であるか、わが国の居住者であるかの判定が重要です。非居住と判定されて、初めて租税条約の適用の検討に入るわけです。
(2) 租税条約の態様
各国との租税条約は、それぞれ内容が異なっています。したがって、租税条約を締結されているかどうかの確認だけでなく、それぞれの所得に対してどのように規定されているかを確認する必要があります。
(ア) 退職年金に対する課税
租税条約においては、通常、居住地国でのみ課税されることと規定されているので、わが国においては非課税となる場合が多いのですが、対タイ条約等のように退職年金条項がない条約もありますので注意が必要です。租税条約において、退職年金条項がない場合は、まず、その他所得条項の有無を検討し、条約に規定していない所得に対する課税関係を確認します。その他所得条項がない場合は、わが国の国内法どおりの課税関係となります。概要は、後述の表のとおりです。
(イ) 一時所得に対する課税
代行返上に伴い、場合によっては一時所得が発生します。非居住者の場合、一時所得は、確定申告の対象となります。 所得金額の計算方法は、居住者の場合に準じて計算されます。少額の場合は、一時所得の特別控除の適用等がありますので、わが国での納税義務が発生しない場合が多いものと思われます。一時所得について、通常、租税条約では規定していません。その場合、その他所得条項の有無を確認します。その他所得条項がない場合、わが国で課税されることとなります。その他所得者条項があっても、居住地国でのみ課税される場合(わが国では非課税となる)と、わが国でも課税される場合がある。これについても、概要は後述の表のとおりです。4 退職年金と一時所得に対する各国との租税条約の概要
次の表では、わが国が締結している租税条約について、退職年金と一時所得についての課税関係をまとめたものです。
居住地国課税とは、海外移住した国だけで課税される(わが国では非課税)ことをいい、源泉地国課税とは、わが国で課税されるだけでなく、場合によっては、居住する国においても課税されることをいいます。
なお、この表の退職年金には、公務員が受領する共済年金は含まれないことに注意する必要があります。カッコ内の数字は、当該租税条約において年金等を規定している条文を指します。
(平成18年1月現在)
地域 国名 退職年金 一時所得 アジア(12カ国) 中国 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-1) 韓国 居住地国課税(18) 居住地国課税(22-1) フィリピン 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) タイ なし→源泉地国課税 源泉地国課税(20-3) マレーシア 居住地国課税(18) 源泉地国課税(21-3) シンガポール 居住地国課税(18) 源泉地国課税(21-3) インド 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-3) インドネシア 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) パキスタン なし→源泉地国課税 なし→源泉地国課税 スリランカ 居住地国課税(12) なし→源泉地国課税 バングラディシュ 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-3) ベトナム 居住地国課税(18) 居住地国課税(21) オセアニア(2カ国) オーストラリア 居住地国課税(13) なし→源泉地国課税 ニュージーランド 居住地国課税(9-1a) なし→源泉地国課税 北米・南米(4カ国) 米国 居住地国課税(17) 居住地国課税(21) カナダ なし→源泉地国課税 源泉地国課税(20-3) ブラジル 居住地国課税(20) 源泉地国課税(21) メキシコ 居住地国課税(18) 源泉地国課税(21-3) 地域 国名 退職年金 一時所得 欧州 英国 居住地国課税(19-1) 居住地国課税(23-1) フランス 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) ドイツ 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) イタリア 居住地国課税(19) 居住地国課税(22) オランダ 居住地国課税(19) 居住地国課税(23) ベルギー 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) デンマーク 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) スペイン 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) ノルウェー 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-3) スウェーデン なし→源泉地国課税 なし→源泉地国課税 フィンランド 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) スイス 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) オーストリア 源泉地国課税(16) なし→源泉地国課税 アイルランド 居住地国課税(19-2) 居住地国課税(23) チェコ 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) スロヴァキア ハンガリー 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) ルーマニア 居住地国課税(18) なし→源泉地国課税 ポーランド 居住地国課税(18) 居住地国課税(22) ブルガリア 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-3) ルクセンブルグ 居住地国課税(18-1) 源泉地国課税(22-3) 地域 国名 退職年金 一時所得 中近東・アフリカ(5カ国) エジプト 居住地国課税(16) なし→源泉地国課税 ザンビア 居住地国課税(17) 居住地国課税(21) トルコ 居住地国課税(18) 源泉地国課税(21-3) イスラエル 居住地国課税(18) 源泉地国課税(22-3) 南アフリカ なし→源泉地国課税 なし→源泉地国課税 旧ソ連邦(10カ国) ロシア連邦 居住地国課税(15) 居住地国課税(19-1) ウクライナ ウズベキスタン キルギスタン タジキスタン トルクメニスタン グルジア アルメニア ベルラーシ モルドヴァ 5 想定される質疑応答
非居住者について、想定される質問事項についての質疑応答です。
(1) 居住形態
問1:居住者と非居住者の定義を教えてください。
答1:居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、非居住者とは、居住者以外の個人をいいます(所法2-1三、五)。
問2:住民票を海外に移せば非居住者ですか。
答2:住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定することとされています。形式だけでなく、現実の生活等を基に総合的に判定しなければなりません。
問3:移住先の国に183日超滞在していれば、非居住者として扱っていいのですか。
答3:国によっては、居住者及び非居住者の判定を283日を基準としている国があるようです。しかしながら、わが国の場合は、通常、所得税法施行令15条(国内に住所を有しない者と推定する場合)に基づいて判定されることとなりますので、単に、283日現地に滞在しているというだけでは、わが国の非居住者には該当しないものと考えられます。
問4:わが国でも居住者、移住先でも居住者ということはあるのですか。
答4:問3の回答のとおり、283日を基準に居住者と判定する国に滞在する場合、双方で居住者とされるケースはありうるものと思われます。
問5:双方居住者とされた場合、そのようになるのですか。
答5:課税上問題となるときは、租税条約に双方居住者の調整の規定があれば、それによるものと思います。
問6:日本で暑いときと寒いときは移住先で過ごし、春と秋は日本に滞在していようと思います。滞在期間は、移住先のほうが長いと思いますが、この場合非居住者として扱っていいのでしょうか。
答6:所令15に該当しないのであれば、通常は、日本の居住者として扱われるものと思われます。
(2) 非居住者の課税関係
問1:非居住者の課税関係を検討する場合、恒久的施設の有無が問題とされるようですが、年金受領者の場合、どう考えたらいいのでしょうか。
答1:通常は、恒久的施設を有しない非居住者と考えていいと思われます。説明の正確性を求められる場合は、所得税法の構成が、恒久的施設の有無を基準としているので、それの説明なしにはできないと思われます。
問2:通常の年金受領者は、どのように考えたらいいのでしょうか。
答2:通常、恒久的施設を有しない非居住者となります。年金以外の所得がない場合、年金に対して所得税が源泉徴収されて課税関係が終了します。
問3:恒久的施設を有する非居住者とは、どういう個人をいうのでしょうか。
答3:個人で、わが国に支店や事務所を設けて事業活動をしていることを想定していますが、実際には非常に少ないようです。該当する場合としては、事業的規模の不動産(いわゆる5棟10室以上の規模の貸付け)を所有している場合、貸ビル業を行っているものとみているようです。その場合は、すべての国内源泉所得について確定申告をすることになります。
問4:事業的規模でない不動産所得を有している場合はどうなりますか。
答4:不動産所得は、非居住者でも確定申告の対象になります。また、貸付先が、事業者(会社)の場合、非居住者への支払いの際に、20%の税率で所得税の源泉徴収が行われますので、わが国での租税債務を精算するためにも確定申告をする必要があります。
(3) 租税条約の適用関係
問1:租税条約はどこでみることができるのでしょうか。
答1:市販の租税条約集か、法務省の法令検索サイトで入手することができます。
問2:租税条約の適用関係が分からない場合、どこへ聞きに行けばいいのでしょうか。
答2:源泉徴収関係については、会社を管轄する税務署の源泉徴収部門へ、確定申告については、個人の納税地を管轄する税務署の所得税部門に相談にいかれたらいいと思います。
問3:租税条約で年金について規定していない条約がありますが、その場合どのように考えるのですか。
答3:租税条約で規定していない場合、その他所得条項の有無を検討します。その他所得条項がない条約の場合、国内法どおりの課税関係となります。その他所得条項がある場合でも、源泉地国課税(日本で課税)される場合と、居住地国課税(日本で非課税)の場合に別れます。
問4:租税条約で、なぜ一時金について規定されていないのでしょうか。
答4:租税条約の締結国間で、投資等の阻害になるものを第一に規定していますので、一時所得を規定する必要性が少ないからと思われます。また、近年の租税条約では、その他所得条項で、条約で規定しない所得については居住地国課税とされるようです。
問5:租税条約で規定されていない所得について規定している「その他所得条項」は、どのようになっているのですか。
答5:最近わが国が締結した租税条約では、その他所得については、通常、居住地国課税と規定されているようです。
問6:他の国に源泉がある所得とは、どのように考えたらいいのでしょうか。
答6:一般的に、租税条約においてどこに源泉があるか規定されていませんが(貸付金利子、使用料、配当は、通常、条約で定義しています)、国内法で課税される所得(わが国の国内源泉所得)については、わが国に源泉がある所得と取り扱われています。
(以上)