アルバニア共和国
(Republic of Albania)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)

一般事情

1.面積

約28,700平方キロメートル(四国の約1.5倍)

2.人口

約316万人(2009年、世銀)

3.首都

ティラナ(約55万人)

4.民族

アルバニア人

5.言語

アルバニア語

6.宗教

イスラム7割、正教2割、ローマカトリック1割

7.国祭日

11月28日:国旗記念日(独立及び解放記念日)

8.略史

年月 略史
1912年 オスマントルコから独立
1939年 イタリアの保護領、後に併合
1944年 共産党臨時政府樹立、全土解放
1961年 ソ連と断交
1976年 中国の経済・軍事援助停止
1985年 ホッジャ勤労党第1書記死去
1990年 野党設立許可、複数政党制導入、外貨導入解禁
1991年 初の自由選挙、臨時憲法制定、米、英と国交回復、ECと外交関係、IMF、世銀、CSCE加盟
1992年 総選挙で初の非共産政権樹立、OICに加盟
1994年 PFP包括協定、PFP個別協定調印
1995年 欧州評議会に加盟
1997年 ねずみ講問題を発端とする騒乱が発生。6月の総選挙の結果、社会党を中心とする連立政権成立
1998年 新憲法制定
2000年 WTO加盟
2003年 EUとの間で安定化・連合協定(SAA)交渉を開始
2006年 EUとの間で安定化・連合協定(SAA)に署名
2009年 NATO加盟

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

バミル・トピ(Bamir TOPI)大統領(2007年7月就任、任期5年)

3.議会

1院制(140名)任期4年
議会議長 ヨゼフィーナ・トパリ(Jozefina Topalli)

4.政府

(1)首相 サリ・ベリシャ(Sali Berisha)
(2005年9月就任、2009年9月再任)

(2)副首相兼外相 エドモンド・ハジナスト(Edmond Haxhinasto)
(2010年9月就任)

5.内政

勤労党(1991年に社会党に党名変更)による一党独裁の下に共産主義鎖国体制をとってきたが、1990年より東欧改革の影響を受け、対外開放、複数政党制の導入等、民主化を始めた。1992年3月の総選挙で民主党を中心とする民主政権が成立。

1997年に入り、ねずみ講問題を発端とする騒乱が南部地域を中心に発生し、同年3月、メクシ首相が辞任。4月より8月まで人道援助物資の配給の安全確保等のためイタリアを中心とする多国籍防護軍が展開。6月の議会選挙の結果を受けてベリシャ大統領が辞任し、7月に社会党を中心とする中道左派政権が成立。その後も社会党と民主党の対立が続き、1998年9月に起った民主党議員の射殺事件を契機に騒擾事件が発生し、右事件の責任をとるかたちで首相が交代した。さらに、1999年10月の与党・社会党の党議長選挙の結果を受けて、再び首相が交代しメタ首相が就任。

2001年6、7月の総選挙で与党社会党が勝利を収め、メタ首相が続投したものの、2002年1月、社会党内の意見対立を原因として、同首相が辞任し、翌2月マイコ元首相率いる新内閣が成立。

2002年6月の大統領選挙では、与野党のコンセンサスによりモイシウ元国防相が新大統領として選出され、7月に就任。同月、マイコ首相が辞任し、社会党のナノ党首が首相に就任した。2005年7月、任期満了に伴う議会選挙が実施された結果、野党民主党が躍進、民主党ベリシャ党首(元大統領)が新首相に就任し、8年ぶりに社会党からの政権交代が行われた。

2007年の大統領選挙では、与野党対立の中から最終的に民主党副党首のトピ大統領が選出され、7月24日就任した。

2009年6月、総選挙が行われ、民主党、「統合のための社会主義運動(SMI)」等4つの党で構成される民主党連合が与党となるも、野党社会党は選挙結果を不服とし、議会ボイコットの継続、ハンガーストライキ、首都及び地方都市での抗議行動の実施など政府との対立姿勢を崩さず、対立が続いている。2011年1月には、野党社会党の呼びかけで、首相退陣、汚職一掃、早期選挙実施を求める2万人規模の反政府デモが実施され、3名が死亡した。本年5月8日、地方選挙が概ね平和裡に実施され、今後は集計がどのように行われるかが焦点となっている。

外交・国防

1.外交基本方針

長年、半鎖国的な社会主義体制をとってきたアルバニアは東西冷戦の終結、東欧諸国の民主化、国内の経済情勢の悪化等の背景から、その鎖国政策を大幅に変更し、1990年以降、国際社会への復帰、先進諸国・国際機関との関係強化及び安全保障の確保を基本的な外交方針としている。

NATO、EU加盟を最優先課題とした外交を行ってきている。NATOとの関係では、2003年5月、米国との間でNATO加盟への協力を謳った米・アドリア海憲章に調印、また2009年4月には、念願のNATO加盟を果たし、アフガニスタンへの追加派兵を行う等積極的に協力する姿勢を示している。EUとの間では、2009年4月、加盟候補国申請を行ったが、2010年11月、必要な加盟要件を満たしていない旨の欧州委員会意見が出され、事実上却下された。他方、シェンゲン査免は同年12月より開始された。伊とは強い経済的結びつきがある。米に対し、政府、国民とも強い親近感を有している。

コソボ独立承認国を増やすべく働きかけを積極的に継続し、コソボの国造りを全面的に支援している。

2.軍事力

(1)予算 2億5,400万ドル(2009年)

(2)兵役 徴兵制

(3)兵力 14,295人

(出典:ミリタリーバランス)

経済(単位 米ドル)

1.主要産業

農業、工業、製造業(世銀2008年)

2.GDP

120億米ドル(世銀2009年)

3.一人当たりGNI

4,000米ドル(世銀2009年)

4.経済成長率

7.5%(世銀2009年)

5.物価上昇率

2.2%(EIU 2009年)

6.失業率

13.8%(EIU 2009年)

7.主要貿易品目

(1)輸出 繊維、鉱物、建築資材

(2)輸入 機械、食料品、建築資材

(アルバニア統計局2009年)

8.主要貿易相手国

(1)輸出 イタリア、ギリシャ、コソボ

(2)輸入 イタリア、ギリシャ、韓国

(アルバニア統計局2009年)

9.通貨

レク(Lek)

10.為替レート

1ドル=約99レク(2011年4月現在)

11.経済概況

 アルバニア経済は、世界経済への統合の程度が高くないため、世界経済危機の影響は限定的である。電力、鉱物資源等の需要増加により輸出が大幅に増加したことを受けて比較的好調に推移し、2010年の成長率は2.8%と予想されている(EIU)。

経済協力(単位 億円)

1.日本の援助実績

(1)有償資金協力 180.92億円

(2)無償資金協力 49.68億円

(3)技術協力実績 18.36億円

(2009年までの累計)

2.主要援助国

(1)ギリシャ (2)ドイツ (3)米国 (4)イタリア (5)オランダ

(2008年実績)

二国間関係

1.政治関係

1981年3月に外交関係を樹立。1990年11月にマリレ外相が即位の礼に参列のため閣僚として初来日。1994年5月にはセレチ外相を外務省賓客として初めて公式に訪日招待。1998年11月には非公式ながらもミロ外相が訪日。2004年4月にイスラミ外相が「西バルカン・平和定着経済発展閣僚会合」出席のために訪日。2006年5月にムスタファイ外相が外務省賓客として訪日。同年12月にはルリ経済相及びバシャ公共事業・運輸・通信相が訪日した。2008年2月には、ベリシャ首相がアルバニア首相としてはじめて訪日した。2008年11月、ティラナにおいて、第一回日・アルバニア政務協議が実施された。2009年5月、西村外務大臣政務官がアルバニアを訪問し、ベリシャ首相を表敬した。2011年2月、アルバニアにて初めて日本文化紹介イベント(和楽器公演及び日本映画祭)を実施し、ベリシャ首相をはじめとする要人が鑑賞する等、大盛況をおさめた。同3月の東日本大震災を受け、アルバニア政府要人から弔意表明がなされた他、4月、アルバニア政府から義援金約10万米ドルが日本赤十字社に提供された。

2.経済関係

日本の対アルバニア貿易(財務省貿易統計2010年)

(イ)貿易額
輸出 5.56億円
輸入 1.80億円
(ロ)主要品目
輸出 機械類、金属製品
輸入 魚介類、繊維製品

3.文化関係

1989年より文部科学省国費留学生を受け入れ

4.在留邦人数

3名(2011年2月)

5.在日アルバニア人数

65名(2009年)

6.要人往来

(1)往(1981年以降)

年月 要人名
1981年 森山自民党議員
1988年8月 浜田外務省政務次官
1991年2月 高島外務省欧亜局審議官
1994年4月 津守外務省欧亜局審議官
1999年5月 上田外務省国際社会協力部長
2008年11月 福嶌外務省欧州局参事官
2009年5月 西村外務大臣政務官

(2)来(1989年以降)

年月 要人名
1989年3月 カプラーニ外務省次官、ホッジャ外国貿易省次官
1990年11月 マリレ外務大臣
1994年3月 パナリティ大統領産業顧問
1994年5月 セレチ外務大臣、コンダ財務省次官
1996年3月 ベロルタヤ外務省次官
1998年11月 ミロ外務大臣
2002年11月 ハイダラーガ外務副大臣
2004年4月 イスラミ外務大臣、チコ経済副大臣
2006年5月 ムスタファイ外務大臣
2006年12月 ルリ経済大臣、バシャ公共事業・運輸・通信大臣
2008年2月 ベリシャ首相
2008年8月 ボズド経済副大臣
2008年10月 ベジャ教育科学大臣

7.二国間条約・取極

1988年 貿易支払協定

8.外交使節

(1)アルバニア共和国駐箚日本国大使 河野雅治特命全権大使(兼轄)

(2)アルバニアは2005年11月東京に大使館を開設。2009年6月より、日本駐箚アルバニア大使、ブヤール・ディダ特命全権大使が着任。