ウクライナ
(Ukraine)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年2月現在)

一般事情

1.面積

60万3,700平方キロメートル(日本の約1.6倍)

2.人口

4,600万人(2009年 世銀)

3.首都

キエフ

4.民族

ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール等(2001年国勢調査)

5.言語

ウクライナ語(国語)、その他ロシア語等

6.宗教

ウクライナ正教及びウクライナ・カトリック教。その他、イスラム教、ユダヤ教等。

7.略史

年月 略史
8世紀 キエフ・ルーシの成立
1240年 モンゴル軍キエフ攻略
1340年 ポーランドの東ガリツィア地方占領
1362年 リトアニアのキエフ占領
1648年 フメリニツキーの蜂起(ポーランドからの独立戦争)
1654年 ペレヤスラフ協定
1764年 ポルタヴァの戦い(ロシアからの独立戦争)
1853年 クリミア戦争
1914年 第一次世界大戦
1917年 ロシア革命、ウクライナ中央ラーダ政権成立
1922年 ソビエト社会主義共和国連邦成立
1932年 大飢饉
1939年 第二次世界大戦
1941年 独ソ戦開始、独によるウクライナ占領
1954年 クリミアをウクライナに編入
1986年 チェルノブイリ原発事故
1991年 ソ連邦崩壊、CIS創設、ウクライナ独立
1996年 憲法制定、通貨フリヴニャ導入
2004年 オレンジ革命

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領(2010年2月〜、任期5年)

3.議会

一院制のウクライナ最高会議(定数450名、任期5年)

4.与党

地域党(Party of Regions)を中心とする連立与党

5.政府

(1)首相 アザーロフ・ミコラ

(2)外相 グリシチェンコ・コスチャンティン

6.内政

 2004年末の大統領選挙をめぐる「オレンジ革命」を経て、ユーシチェンコ大統領が就任。言論の自由など民主化は進展するも、内政は混乱(度重なる首相の交代、議会解散と再選挙(2007年9月)など)。2010年3月にヤヌコーヴィチ大統領が就任。同3月、大統領支持派である地域党中心の連立与党が結成され、同月アザーロフ内閣成立。以降、大統領、首相及び議会連立与党の「ねじれ」が解消し、内政は安定。同10月、憲法裁判所判断により、議会が強い権限を有する2004年の憲法改革は無効とされ、大統領が首相及び閣僚を任命できることとなった。

外交・国防

1.外交方針

 ユーシチェンコ前政権下、ガス供給問題、ロシア黒海艦隊、NATO加盟、人文(歴史認識・言語・宗教)問題等でロシアとの関係が悪化。ヤヌコーヴィチ大統領の就任後は、「欧州への統合」路線を維持しつつも、活発な対ロシア首脳外交を展開。懸案となっていたロシア黒海艦隊の駐留期限延長や天然ガス供給価格で合意がみられるなど大きく進展。2010年7月、国内法で「非同盟」の地位を確定。NATOとは協力を維持しつつも、加盟は目指さない方針。

2.軍事力

 NIS諸国の中でも最大規模の軍事力を保有(兵力 約18.76万人、文民スタッフ 3.3万人、総兵力 22.1万人)。徴兵制を維持。
 なお、黒海艦隊の分割については、1997年5月末ロシアとの間で最終合意に至った。ロシア黒海艦隊の駐留期限は2017年までとなっていたが、2010年4月、天然ガス供給価格の割引と引替に、2042年までの延長につきパッケージ合意。

経済

1.主要産業(産業別構造比)

鉱工業(30.0%)、農林水産業(7.4%)、建設業(4.0%)、サービス業(58.6%)(2008年:CIS統計委員会)

2.国民総生産(GDP)

1,135億ドル(2009年:世銀)

3.一人当たりGNI

2,800ドル(2009年:世銀)

4.経済成長率

−15.1%(2009年:CIS統計委員会)

5.物価上昇率

15.9%(2009年:CIS統計委員会)

6.失業率

8.5%(2010年第1四半期:ウクライナ国家統計委、ILO基準員会)

7.総貿易額(2009年:CIS統計委員会)

(1)輸出 397億ドル

(2)輸入 454億ドル

8.主要貿易品目

(1)輸出 非金属・製品、植物製品、機械・設備

(2)輸入 鉱物製品、機械・設備、化学品

9.主要貿易相手国

(1)輸出 ロシア(21%)、中国(3.6%)、カザフスタン(3.6%)

(2)輸入 ロシア(29%)、独(8.5%)、中国(6.0%)

10.通貨

フリヴニャ(UAH: hryvnya)

11.為替レート

1米ドル=7.95フリヴニャ(2010年12月現在:ウクライナ中央銀行)

12.経済概況

 独立後の市場経済化による混乱から、1990年代は生産の低下とハイパー・インフレーションを経験。IMF等国際金融機関と協調路線をとって経済改革に着手したが、1998年には国際金融市場低迷の煽りを受け、外貨準備高の減少などの問題に直面。2000年代に入り、経済成長率がプラスに転じ、好調な鉄鋼輸出や内需拡大により高い成長率を実現させたが、2008年夏以降、鉄鋼需要の頭打ちに加え、世界経済・金融危機の影響を受けて株価の下落や外資の流出が始まりウクライナの財政状況が悪化。2010年に就任したヤヌコーヴィチ大統領は、IMFから支援を受け、経済を立て直すことが課題。
 2008年5月、世界貿易機関(WTO)に加盟。

経済協力(2008年度までの累計)

1.日本の援助実績

(1)人道支援 医療機器、医薬品等計822万ドルを供与。

(2)技術支援 ODA分は8.67億円(チェルノブイリ事故関連専門家派遣・招聘、経済専門家ミッション派遣、ウクライナ・日本センター)

(3)無償資金協力 26.82億円(ノン・プロジェクト無償、小児病院医療機材整備計画等)

(4)有償資金協力 190.92億円(キエフ・ボリスポリ国際空港拡張計画)

(5)非核化支援 22億3,500万円

(6)原子力安全基金 約1,900万ドル+368万ユーロ

(7)チェルノブイリ石棺基金 約5,000万ドル

2.主要援助国

米、独、スウェーデン、加、スイス、オランダ

二国間関係

1.政治関係

(1)国家承認日 1991年12月28日

(2)外交関係開設日 1992年1月26日

(3)日本大使館開館 1993年1月

(在日ウクライナ大使館は1994年9月に開館)

2.経済関係

(1)日本の対ウクライナ貿易(2009年:貿易統計)

(イ)輪出 362億円
(ロ)輸入 196億円

(2)主要品目(2009年:ロシア東欧貿易会)

(イ)輸出 自動車、一般機械、電気機器
(ロ)輸入 食料品、鉄鋼、金属製品

(3)進出企業(2010年) 33社(日本商工会加盟社数:21社)

(4)日本からの直接投資(2008年までの累計:ウクライナ国家統計委員会)
 75.00百万米ドル

3.文化関係

 両国の文化交流は両国大使館の文化広報活動を通じて行われているほか、姉妹都市(京都市とキエフ市、横浜市とオデッサ市)の交流等草の根レベルの交流も行われている。

4.在留邦人数

202名(2009年10月現在)

5.在日当該国人数

1,590名(2009年12月末現在)

6.要人往来

(1)往(1995年以降)

年月 要人名
1995年1月 柳澤外務政務次官
1996年7月 池田外務大臣
1996年8月 柳澤衆議院議員
1997年7月 逢沢衆議院議員(外務委員長)
1997年8月 齋藤参議院議長
1997年9月 林衆議院議員
1997年10月 柳澤衆議院議員
1998年1月 秋山防衛庁次官
2002年8月 松浪外務大臣政務官
2003年8月 柳澤衆議院議員
2003年8−9月 川口外務大臣
2005年1月 柳澤衆議院議員(特派大使)
2005年7月 逢沢外務副大臣
2005年11月 衆議院外務委員会代表団(原田委員長)
2006年5月 日・ウクライナ友好議連(柳澤衆議院議員、稲葉衆議院議員)
2006年6−7月 麻生外務大臣

(2)来(1992年以降)

年月 要人名
1992年10月 スレピチョフ副首相(旧ソ連支援東京会合)
1995年3月 クチマ大統領
1997年5月 ウドヴェンコ外相
1997年10月 シュペック国家復興開発庁長官
1998年3月 ウドヴェンコ外相(国連総会議長として来日)
1999年4月 ロゴヴォイ経済相(民間招待)
2000年6月 タラシュク外相(小渕前総理の葬儀参列)
2001年10月 クチマ大統領夫人、セミノジェンコ副首相
2001年11月 ハヴリッシュ最高会議副議長一行
2003年5月 リトヴィン最高会議議長
2004年6月 グリシチェンコ外相
2005年3月 トメンコ副首相(愛知万博開会式出席)
2005年7月 ユーシチェンコ大統領(タラシュク外相、テリョーヒン経済相、チェルボネンコ運輸相ら同行)
2006年4月 ニコラエンコ教育科学相
2006年10月 リホヴィ文化観光相
2007年7月 ルジコフスキー運輸通信相
2007年7月 ハイダイェフ保健相
2008年3月 オグリスコ外相
2009年3月 ダニリシン経済相、プロダン燃料エネルギー相、ノヴィツキー産業政策相、クイビダ地域発展・建設相、クチェレンコ住宅・公共サービス相、ポルタヴェツ石炭産業相(第2回日本・ウクライナ経済合同会議)
2009年3月 ティモシェンコ首相(ネミーリャ副首相、ダニリシン経済相同行)
2010年9月 コレースニコフ副首相(クリニャク文化観光相同行)
2011年1月 ヤヌコーヴィチ大統領(グリシチェンコ外相、クリニャク文化相同行)

7.二国間条約・取極等

1995年3月 日ソ間で結んだ条約の承継を確認
2004年6月 技術協力・無償資金協力協定
2008年3月 京都議定書の下での共同実施(JI)及びグリーン投資スキーム(GIS)における協力に関する覚書