航空機リース出資に課税 処分取り消し判決、名古屋地裁

(出典:読売夕刊 10月28日)

 航空機リース事業への出資が課税逃れと認定され、事業で生じた赤字をほかの所得から差し引く損益通算が認められないのは違法だとして、名古屋市の会社社長ら投資家6人が名古屋国税局管内の税務署長を相手取り、課税処分の取り消しを求めた訴訟の判決が28日、名古屋地裁であった。
 加藤幸雄裁判長は、「課税には法律上の根拠がない」として原告の主張を全面的に認め、過少申告加算税を含めた計3億2000万円の追徴課税を取り消す判決を言い渡した。
 航空機リース事業を巡る課税処分に司法判断が下されたのは初めて。

航空機リース 収入の圧縮、合法の判決

(出典:朝日夕刊 10月28日)

 野村證券グループ会社のあっせんで出資した航空機リース事業の赤字を他の所得と合算し収入を圧縮したとして、総額3億3千万円を追徴課税された愛知県の投資家6人が課税処分の取り消しを求めた訴訟で、名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は28日、「税逃れ」とする国税当局の主張を退け、処分を取り消す判決を言い渡した。同事業の課税を巡る司法判断は初めて。
 6人は、野村證券グループのリース会社「野村バブコックアンドブラウン」(東京)の勧誘を受け、97年ごろに設立された組合の組合員としてリース事業に出資した。
 判決は、組合については「契約は適法」とした。その上で、「税法上のメリットを選択することは何ら不当ではない」と指摘し、「追徴課税する法的根拠がない」と結論づけた。

 個人の航空機リース事業への出資に係る初めての判決がでた。
 最近では、名古屋だけの課税だけでなく、東京、大阪でも大々的に課税が始まっているようなので、その意味で、重要な判決と位置づけることができる。
 しかし、国税局の主務課の指令で税務署での調査が始まると、指令をうけた職員は、自己の判断では調査を止めることは許されないから(一見して、瑕疵が重大かつ明白とは認められないので、従わないと業務命令違反に問われる可能性大。)、少なくとも高裁で敗訴が確定しないと、追徴課税の流れは止まらないのではないか、と思う。
 結局、この課税攻勢はあと1-2年は続くものと考えるべきだろう。