外国株使う合併に条件 会社法案巡り法務省方針:国内非上場は厳しく

(出典:日経朝刊 3月1日)

 法務省は、2006年に解禁予定の外国株式を対価とする企業合併をめぐり、国内での売買が難しい外国株を使う合併に条件を設ける方針を固めた。
 外資による日本企業買収などに警戒感がある与党などの理解を得るには一定の制限が必要との判断からで、国内で非上場の外国株を使う場合に合併要件を厳しくする案を軸に検討する。
 合併の際に外国株を割り当てられることになる国内の投資家を保護する狙いがあるものの、過度に制限した場合は「外資締め出し」との批判を招きかねないため、慎重に調整をするめる構えだ。
 外国株を対価とする企業合併は外国企業が日本企業を傘下におさめる新しい手法で「三角合併」と呼ばれ、政府が今国会に提出する会社法案の柱の一つ。企業再編などを促す狙いで、外国企業が日本に設立した買収目的の子会社を日本企業と合併させる場合、消滅する日本企業の株主に親会社の外国株を割り当てることを認めるものである。
 具体的には、日本市場で非上場などの外国株を対価に三角合併する場合、買収される日本企業が合併を承認する株主総会の要件を議決権で過半数の株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要な通常の「特別決議」から「特殊決議」に引き上げる方向。人数で過半数の株主が出席し、欠席者を含めた総議決権の3分の2以上の賛成が必要となるため、個人株主が多いきぎょうで要件を満たすのは困難になる。

 国内に上場している外国企業の数をみると、これでは、外国法人による上場会社との合併は非常に困難で、事実上、門戸を閉ざしたものと同じだ。
 今年の税法の改正でも、ファンドに対する課税強化の形が現れてきているが、国内だけの資金で、国内経済が活性化できると本気で考えているのだろうか。
 これで、やっと回復の兆しがみえてきた日本経済が、外国の企業の信任を失い、国内への資金流入が細って、また、デフレに戻るのではと心配だ。
 一部の地域で土地の値上がりが激しいが、土地バブルの頂点を指している兆候が見えてきているようである。要注意である。