国税の経験も一つのキャリアーになっていく。冷静に自分の能力を見つめ直してみよう!

 国税OBに対する対応が少しづつ変化してきているのではないか。
 H税理士の脱税被疑事件以来、現役の国税職員とOBとの交流が断絶しているような状態になっている。国税OBのよいところは、国税での長年の経験と退職後も国税に関する幅広い情報網を駆使した、実務に即した税務相談を提供できたことにあったと思う。
 しかし、幅広い情報網が機能しなくなってきてみると、顧客が顧問税理士に要求するものは、税理士一般に要求するものと同等のものになってきてくるようだ。具体的には、会計代行業務と税務相談、そしてコンサルタントとしての役割である。
 ところで、われわれ国税のOBにとって、それらの業務を日常業務として遂行することができるのであろうか。冷静に見てみると、税務相談以外難しいことは明らかであるが、大目にみてもわれわれの能力というのは、その税務相談すら自分が従事した税目の、かつ、その一部分にしかすぎないことを十分に理解しておく必要がある。
 しかし、悲観する必要もないようだ。世の中の税理士のすべてが、税務相談を十分にこなせるほど、税務の世界は、「広く、深く、複雑で、早い」のも事実である。一部の有能で、勉強をしている税理士や会計士、弁護士などが、複雑で大きな事案を、一人ではなく、チームで処理しているようである。
 多くの税理士が日常的な会計代行業務に自分の持ち時間のすべてを費やしているため、なかなか勉強できないという現実がある。そんな中で、国税の経験は、思っている以上に貴重なようだ。実務の対応を予測するという仕事のウェートが以外に大きいようだ。
 国税の現場では、種々の仕事する。その経験を十分に血となり肉となっているかはずである。結局、退職して、その人を評価する場合に、一人の人間として、どのような能力やノウハウなどを有しているかなどが試されるようだ。十分にもっていると、客観的に判断できるのであれば、それなりの処遇が待っているはずである!(私が保証するわけではありません!念のため。)

(2003年6月14日)